口コミを使ってどう商品を売るのか?というハウツー本ではなく、
口コミが伝染していくメカニズムを解き明かし解説している本。
とりあげている事例は非常に多肢にわたり、
アメリカ独立戦争、セサミストリートの番組作り、心理テストで有名な看守と囚人、
ニューヨークが凶悪犯罪を取り締まるために行った地下鉄の清掃作戦、喫煙問題など・・・
とても面白く読み進められた。
口コミの法則には3つあり・・・
1つめは、少数の法則。
・コネクター
いわゆる顔が広い人。いろんなタイプの人間と関わりがある。
・メイブン
情報通。知識が豊富、そしてそれを伝える術がある人。
・セールスマン
説得のプロ。周りの人を説得する。
の3種類の人がいて、このタイプの人たちを使ってメッセージを伝えるようにすれば効率的に口コミの感染が広がる。
2つめは、粘りの要素。
メッセージには粘りが必要。ひとたび感染してもすぐに治ってしまってはいけない。
3つめは、背景の力。
人の性格は環境によって変わる。
周りの人が改札を飛び越して乗っているのに、自分だけ料金を払って乗るだろうか?
まったくラクガキされていない大聖堂に、幸せになるからといってラクガキするだろうか?
個人的に一番ハっとさせられた事例は
麻薬中毒者が使いまわして使っている注射器を清潔な注射器と交換させるために、
ボルティモア市が行った注射器の配布の話。
つまり、感染対象者は麻薬中毒者で感染させたいものは清潔な注射器である。
ボルティモアが行った方法は、週の決められた日時に決まった場所に配布しに行くという方法。これだけ。
注射器をタダで配布したところで、麻薬中毒者になるような人物がわざわざ新しい注射器をとりにくるのか?
タダで配布したら大量に持っていって売りさばくやつが現れるだけじゃないの?
なんて疑問がすぐに沸いてくると思うけど
なんと「大量に持っていって売りさばくやつ」こいつがキーマンなのだ。
この手の人は、顔が広く、どこに売りにいけば売れるかわかっている。
市の職員が麻薬中毒者に一人一人清潔な注射器を配布するよりも
より多くの麻薬中毒者に、より効率的に清潔な注射器を渡してくれる優れた方法なのだ。
ほかにも自殺が感染する!?とか鬱病と喫煙の関係についてとか
興味をそそられる事例が数多く載っていて、こういう話に知的好奇心を擽られる方にはオススメの本です。